2026/04/02 00:21

服は、新しく作られるものだと思われがちだけれど、
本当はすでにそこに存在しているものを見つける行為なのかもしれない。



日本の繊維産業は、長い時間をかけて多くの技術と素材を生み出してきた。
とりわけ、1980年代から2000年代にかけて我々が多感であったとき、染めや織り、紡績の分野で、いまでは再現が難しいような試みが数多く積み重ねられてきたと感じている。


しかしそれらの多くは、製品として世に出ることなく、見本帳やサンプルのまま倉庫に残されてきた。
そこには、完成されなかったもの、採用されなかったもの、時代に合わなかったものがいまでも静かに眠っている。


けれど、それは価値がなかったということではない。
ただ、その時代の解釈の違いと少しだけ乖離があったというだけだと思う。


時間が経ち、視点が変わることで、ものの見え方は少しずつ変わっていく。
当時は見向きもされなかった素材も、いまの感覚の中で見ると、とても自然に感じられることがある。


職人たちが提案してきたそれらの素材を活かした服作りをしたい。





The Reinterpreted Fabrics Project


このプロジェクトはそうした見本帳の中からいくつかの生地を選び、現代の解釈で服としてかたちにしていく。
新しく作ったというよりは、時間の中にあったものを、いまのかたちで引き寄せたような感覚に近い。


服は、ただのプロダクトではなく、時間の層のようなものだと思う。

誰かがつくり、選ばれずに残り、そしてまた別の誰かによって見出され、そして育てていく。


ただのデッドストックを利用するだけではない。



その静かな連なりの中に、少しだけいろいろな温もりに触れられ大切にされるようなものになっていれば嬉しい。